ジュージューとうまそうな音をたてる鉄板。

焼けたお肉の香ばしいにおい。

はずむような笑い声が部屋じゅうに響く。

アルコールと熱気で、みな顔は赤い。


よくあるBBQの風景だ。

・・しかし、何かが違う。


台所に見知らぬ「中東風の男」がやってきた。

「南米出身らしき女」が通りすがりに、手を振ってくる。

「韓国人っぽい男」は隣のラウンジでネットサーフィンをしている。


そう、ここは「東京国際交流館」。

お台場にある留学生のための学生寮である。

今日は知り合いの中国人留学生にまねかれたのだ。

共用キッチンに陣取り、そこで肉を食らっているのである。


そんじょそこらの学生寮とはワケが違う。

まるで、デザイナーズマンション。

周囲になにもさえぎるものはなく、外はぼんやりと暗い。


ラウンジからテラスに出て、ビール片手に天王洲の夜景を眺めてみる。

ふわりとした夜の風が、ほてった体を優しく包み込む。

かすかな潮の香りがするその風を、ふいに大きく吸い込んだ。

東京が海の街であることを確認するかのように。



国際交流を目的としたこの施設は、

喧噪から少し離れた位置から、東京の日常を見つめ直し、

自らの日常を見つめ直すことのできる、

非日常の大切さを教えてくれた。



でも、


・・・豪華すぎます、本当に。 俺も住みてー (T0T)