東京中央郵便局とデザイン

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写真 : 清水襄 氏


景観形成やまちのストック活用のためには建物の保存が良いこととなっていても、工場、事務所、発電所、疎水などの近代遺産は、お寺や城に比べて位置づけが低いように思えます。先日、東京中央郵便局の保存問題をめぐり、一時工事中断などのやり取りがありました。(東京中央郵便局保存の意義についてはコチラ→東京中央郵便局庁舎・大阪中央郵便局庁舎保存要望書/日本建築学会
DOCOMOMOのトップページも、この問題をクローズアップして取り上げていますね。

DOCOMOMOについて
20世紀の建築における重要な潮流であったモダン・ムーブメントの歴史的・文化的重要性を認識し、その成果を記録するとともに、それにかかわる現存建物・環境の保存を訴えるために、オランダのアイントホーヘン工科大学のフーベルト・ヤン・ヘンケット教授(現デルフト工科大学教授)の提唱により1988年に設立された国際学術組織。

正直なところ、建物の装飾や歴史の長さなどを重視する視点ではなかなか評価が難しいと思います。普通の古いビルじゃないかと思うだけの人もいるでしょう。ただ、近代日本の産業史をあわせてみる視点では少し違った見え方があるのではないでしょうか。最近、日経新聞日本の近代遺産50選という連載があります。経済新聞の代名詞ともいうべき日経でこの問題がどのような視点で取り上げられるのか、それとも取り上げられずに終わるのか、興味深いところです。

以下、日本の近代遺産50選より引用

日本の近代遺産50選について
極東の島国『日本』は百年余りで世界第2の経済立国になりました。明治、大正、昭和の近代化の過程で、先人たちは産業、土木、交通に関する建築物・構造物などの遺産を数多く残しました。 戦争、震災や開発の爪をくぐりぬけた工場、発電所、疎水、建築物などが日本全国に散在します。

1996年の文化財保護法改正で登録文化財制度の導入により、文化庁は近代化遺産保護を本格化させました。経済産業省では、2007年に「近代化産業遺産群33」として地域史、産業史を軸とした近代化産業遺産ストーリー33件と575件の認定遺産を公表しています。各自治体でも町並み保存などとあわせ、これらを保護し再生し、地域おこしに活用しようという動きが広がっています。

そこで、本企画では、独自の視点で明治以降の歴史ある遺産から『近代遺産50選』を選びました。今後、日本経済新聞 夕刊で毎週紹介して参ります。本サイトは、新聞に掲載されたものに、探訪余話を加えたネット版です。本企画は、『史跡101選』の続編として近代日本の足どりをたどります。ビジネスマンには日本の産業史を学べ、歴史や旅行に関心のある団塊世代にも読み応えのある内容です。